記事一覧 · 公開日 2026-10-19
"The staff is" か "the staff are" か? 集合名詞をめぐってイギリス英語とアメリカ英語の意見が分かれる理由
TOEICの文法問題——The IT department ___ currently migrating all files——では、答えは is です。ところが、同じ文をイギリスの新聞に載せるなら、are でも通用します。team、committee、family、government のように人の集団を表す名詞は、アメリカ英語ではほぼ必ず単数動詞を取りますが、イギリス英語では個々の人々からなる集団と捉えて複数形を使うこともできます。この記事では、コーパスに基づく文法書と語法ガイドを手がかりに、両者の違い、単数動詞のあとに they が現れることがある理由、staff と police がこのパターンの例外になる理由、そして a number of と the number of の選び方を整理します。
イギリスの読者なら "are" と答えるかもしれないTOEIC文法問題
ハンディ990のPart 5の問題集に、次の問題があります。
The IT department ___ currently migrating all files to a secure cloud server.
(A) are (B) to be (C) is (D) am
答えは (C) is です。理由は単純で、department(部門)は1つの部門なので、動詞も単数になるからです。
ところが、イギリスの新聞を読んでいると、次のような文に出会います。どちらも、BiberらがLongman Grammar of Spoken and Written English(1999、以下「Longman文法書」)の188ページでイギリス英語の用法を説明するために挙げているニュースの例です。
The family are absolutely devastated. They are coping as well as possible, but they are desperately upset.
The Government have decreed that we will have to rebid for our betting licence in 1992.
Family は単数名詞なのに、are を取っています。Government も単数ですが、have を取っています。これは誤植ではありません。イギリス英語では、人の集団を表す名詞に複数動詞を使えますが、アメリカ英語ではほとんどそのようにはしません。 上の問題をイギリス英語の話者に見せれば、(A) are もまったく間違いには見えないかもしれません。TOEICを作成するETSはアメリカの組織なので、試験ではアメリカ英語の慣用に従います。
集合名詞(collective noun)とは?
team や family のように、形は単数でも、人や物の集団を表す名詞を集合名詞(collective noun)と呼びます。よく使われるものには、次のような語があります。
- 人で構成される組織:team、staff、committee、board、management、government、company、department、firm
- 集まった人々:family、audience、crew、jury、public
まず、よくある誤解を1つ解いておきましょう。集合名詞にも複数形はあります。2つのチームなら two teams、3つの委員会なら three committees で、ほかの複数名詞と同じように複数動詞を取ります。問題になるのは単数形だけです。つまり、the team を1つのものと見るのか、それとも複数の人と見るのか、ということです。
答えは、どう捉えるかによって変わります。
- 1つのまとまりとして見る場合:動詞は名詞の形に合わせて単数になります。文法ではこれを文法的一致(grammatical concord)と呼びます。
- 個々の構成員として見る場合:動詞は意味に合わせて複数になります。これを意味的一致(notional concord)と呼びます。
見落としやすいのは、アメリカとイギリスでは、この2つの見方の選び方が異なるという点です。

イギリス人はなぜ「the team are」と言うのでしょうか?
Michael Swan の Practical English Usage(第3版、2005、第526節)は、これを明快に説明しています。イギリス英語では、family、team、government のように人の集団を指す単数形の語は、動詞や代名詞を単数にも複数にもできます。大まかな判断基準は次のとおりです。
- その集団を、決める、望む、求めるといった人間らしいことをする人々の集まりとして見る場合は、複数がよく使われます。
- 個々の人格を持たない1つの単位として見る場合は、単数のほうがよく使われます。
Swan が挙げている対照的な例です。
| 人々として見る(複数) | 1つの単位として見る(単数) |
|---|---|
| My family have decided to move to York. | The average family has 3.6 members. |
| My firm are wonderful. | My firm was founded in the 16th century. |
同じ family でも、York への引っ越しを決める人々には have を使い、平均3.6人で構成される世帯には has を使います。
関係代名詞までそれに合わせて変わります。Swan は、イギリス英語では複数の場合に who(The committee, who are hoping to announce important changes...)、単数の場合に which(The committee, which is elected at the annual meeting...)が好まれると述べています。前者は期待を抱く人々の集まりで、後者は選出される1つの組織です。
最もわかりやすいのがスポーツチームです。Longman 文法書の189ページでは、イギリスのニュースでは地名をチーム名として使い、複数動詞を続ける用法がよく見られると指摘しています。
England have been here almost a week, practising every day...
この England は国ではなく、選手の集団である England チームを指しています。同じページによると、このパターンはイギリスのニュースではよく見られますが、アメリカ英語では使われません。ただし、the New York Giants のようにチーム名自体が複数形の場合は別です。
だからといって、イギリス人がすべての集合名詞(collective noun)を複数扱いするわけではありません。Longman 文法書の基になった、イギリス英語とアメリカ英語、話し言葉と書き言葉を含む4000万語以上のコーパスによると、実際の用法では、今でも単数のほうがよく使われています。このコーパスでは、audience、board、committee、government、jury、public は80%を超える割合で単数一致になり、family と crew は単数・複数のどちらもよく使われます。反対の傾向を示すのは staff だけで、80%を超える割合で複数一致になります(staff については後ほど詳しく説明します)。
アメリカ人はどう言うのでしょうか?
アメリカ英語はもっと単純です。Swan は同じ節で、アメリカ英語ではこの種の名詞の大半に、どのような場合でも単数動詞を使うのが普通だと述べています。ただし、例外が1つあり、family には複数動詞を使うこともできます。Longman 文法書も、イギリス英語では family と crew のどちらにも単数・複数がよく使われる一方、アメリカ英語では単数が好まれるとしています。
そのため、アメリカ人は次のように言います。
- The committee is meeting on Friday.
- The team has won three games in a row.
- Management has approved the budget.
通常、The committee are meeting on Friday とは言いません。大半のアメリカ人には、この文はイギリスらしく聞こえます。
動詞は単数なのに、代名詞は they?
とはいえ、アメリカ英語も見かけほど単数一辺倒ではありません。Swan が挙げているアメリカ英語の例はこちらです。
The team is in Detroit this weekend. They expect to win.
最初の文では is、2つ目の文では they を使っています。動詞は単数、代名詞は複数です。そして Swan によれば、アメリカ英語でもこのような使い方ができます。
Longman文法書も、コーパスの中に同じ現象が見られると述べています(192ページ)。動詞と代名詞は通常一致しますが、集合名詞(collective noun)は両者が一致しないことがよくあるケースの1つです。例文はイギリスのニュースから取られています。Her own family has suffered the anguish of repossession, and her personal story of how her local Liberal Democrat-controlled council helped them...――先に has が来て、あとから them が出てきます。同書はここから3つの結論を引き出しています。代名詞は動詞よりも一致が揺れやすいこと、その揺れは通常、代名詞が名詞から離れているときに起こること、そして一般に、形ではなく意味に動かされて起こることです。
言語学者 Magnus Levin も、アメリカ、イギリス、オーストラリアの新聞と話し言葉を比較した、スウェーデンのルンド大学での2001年の博士論文 Agreement with Collective Nouns in English で、同じ距離の効果を確認しています。ある語が集合名詞から離れるほど、複数形になる可能性が高くなります。動詞は通常、主語のすぐあとに置かれるため、単数のままになりやすい一方、代名詞は数語あと、あるいは次の文に現れることもあり、そこでは意味に引かれる力が強くなります。
TOEICの公式サンプル問題には、ちょうどよい例があります。第41–43問の会話で、男性が You know our vendor has raised their prices, right? と言っています。1つの文の中で、has は単数、their は複数です。(このセリフは、単数の they を扱った「英文は前置詞で終わってもいい? ネイティブの書き手が毎日破っている、学校で習う6つの文法ルール」でも取り上げました。)
第38–40問はさらに面白い例です。その会話では、男性が the company must be making good money if they're adding that space! と言い、company を they で受けています。ところが、問題冊子に印刷された第40問では What do the men imply about the company? と尋ね、正解の (C) は It is in a good financial situation. です。同じ company なのに、会話では they、紙面では it になっています。

一般に、書き言葉のほうがきれいにそろっています。同じサンプル問題の第161–164問の読解文は、Mooringtown Library is pleased to invite local community groups to use the free advertising space on its new notice board で始まります。図書館には is が使われ、代名詞は its です。ハンディ990の Part 5 にも Each department is responsible for monitoring ___ own energy usage. という問題があり、正解は its、their はひっかけの選択肢です。
要するに、リスニングでは they が company を指すことも十分にありますが、読解の穴埋め問題では、組織を指す代名詞は通常 its です。
staff と police:複数に傾く2つの語
集合名詞(collective noun)の中には、少し変わったものが2つあります。
staff は、Longman文法書が例外として特に挙げている語です。そのコーパスでは、staff は80%を超える割合で複数動詞を取ります(The staff carry messages from guest to guest、When staff are absent, a class is split between other teachers)。同書によれば、staff は police や people とよく似た振る舞いをします。数字と直接組み合わせることができ(Swan の例は four staff と six crew)、限定詞なしでも使え、all や some を付けることもできます。従業員1人なら a staff member または a member of staff と言う必要があります。a staff は従業員1人ではなく、ひとまとまりの職員全体(a staff of 200)を意味します。
ただし、staff がいつも複数になるわけではありません。Longman文法書は、staff を1つの組織体として捉えた学術的な文章の例として、the staff is disrupted も引用しています。
私たちの問題集でも、小規模な集計をしてみました。ハンディ990のリーディングとリスニングの文章から、「the/our(または別の限定詞)+名詞+ be または have の活用形」という形で、その名詞が直接主語になっている文だけを対象にし、重複する文は1度だけ数えました。その結果、team は60文で単数動詞を取り、複数動詞はわずか2文でした。company は31対0です。一方、staff は逆で、複数が10文、単数はわずか1文でした(The lobby staff is still setting up...)。問題集には The staff ___ the tables while the chef finished plating the desserts. という問題もあり、正解は were setting です。
police はさらに明確です。Longman文法書(289ページ)によれば、police は見た目こそ複数形らしくありませんが、複数動詞を取ります。Police are appealing for help from anyone who witnessed the incident. Swan もこの点を強調しており、The police are looking for... と言い、The police is looking for... とは言いません。警察官1人は a police officer であって、a police ではありません。ただし Longman文法書は、The Royal Canadian Mounted Police was searching the airliner のように、ときおり単数が使われることも指摘しています。この場合は、警察官の集団ではなく、Mounties という組織全体を指しています。
people も、人の集団を意味するときは同じように働きます。つまり People are... です。国民や民族を意味する場合(a people、複数形は peoples)に限って単数になりますが、こちらは別の意味です。
a number of と the number of、どちらを使う?
この2つはよく似ていますが、働きは正反対です。
| 形 | 意味 | 動詞 | 例文 |
|---|---|---|---|
| a number of + 複数名詞 | several(いくつかの)、かなり多くの | 複数 | A number of Arab countries have condemned the UN resolution. |
| the number of + 複数名詞 | いくつあるか、その数 | 単数 | The number of instances was surprisingly large. |
どちらの例文もLongman文法書の185ページから取ったものです。Swanも、Practical English Usage の同じ526節で、A number of people have tried... のほうが A number of people has tried... より自然だと述べています。
簡単な覚え方があります。a number of は several という意味で、かなりの数があることを表しているだけなので、本当の主語はその後ろの名詞です。the number of は数そのものを指し、数は1つのものなので、動詞は単数になります。
a group of と a series of も似ています。Longman文法書によると、後ろに複数名詞が続く場合、動詞が複数になることもあります(ニュースの例は A series of profit downgradings were shrugged off)。ただし、ひとまとまりの単位に焦点を当てる場合は、通常、単数を選びます。series 自体は単数形と複数形が同じです。これについては「fishの複数形とは? the fishが1匹の魚にも魚の群れ全体にもなり得る理由」で取り上げました。
最後によくある落とし穴が news です。語尾は s ですが、現代英語では必ず単数動詞を取ります。The news is good.
日本語では選ばなくていい
日本語を母語とする人には、この話全体が少し奇妙に感じられるかもしれません。日本語の動詞には、主語に合わせなければならない単数形・複数形の区別がないからです。「チームが試合をしている」でも「選手たちが試合をしている」でも、使う動詞はまったく同じです。team を1つと見るか複数と見るか決める必要がないので、the team is と the team are の違いを母語の感覚で捉えることはできません。
代名詞については、そもそも日本語では通常、主語を省略するため、it と they のどちらを選ぶかという問題はめったに起こりません。たとえば「この会社は対応が早くて、翌日には返金してくれた」なら、代名詞はまったく必要ありません。
そのため、日本語話者にとって難しいのは代名詞ではなく、動詞です。英語では動詞を単数か複数か決めなければならず、アメリカ英語での答えはほぼ必ず単数です。
TOEICではどう出題される?
TOEICを作成しているETSはアメリカの機関で、試験ではアメリカ英語が使われます。「TOEIC Listening and Reading公式サンプルテスト」を調べたところ、組織を表す名詞のうち、単数・複数の区別が現れる動詞を伴うものは、見つかった範囲ではすべて単数でした。具体的には、the hotel hires(第35–37問)、our vendor has(第41–43問)、the restaurant is a bit understaffed tonight(第74–76問)、Mooringtown Library is pleased(第161–164問)、そして第131–134問の文章にある the business overall benefits です。複数形が現れたのは代名詞だけで、しかもリスニングセクションに限られていました。先ほどの vendor と company のほか、第38–40問では研究部門について they have the most people と言っています。また、広告会社Torland Advertisingを扱う第77–79問では、印刷された第77問の選択肢にさえ Their focus on cost cutting とあります。
サンプルテストには、集合名詞(collective noun)と動詞の一致を直接問う問題はありません。試験当日に出会ったら、次のように判断してください。
- team、committee、board、company、department、management + 動詞なら、単数を選びます(is、has、-s の付く動詞)。
- こうした組織を指す代名詞の空所には its を選びます。 特に each や every の後ではそうです。(第77問の選択肢では Their が使われているため、印刷された文がすべて it や its を使うわけではありません。ただし文法の空所補充問題では、its が無難な答えです。)
- リスニングでは、they が company を指すこともあります。 必ずしも複数の人を指すとは限りません。
- police と people は複数扱いです。 警察官1人なら a police officer と言います。
- staff は単数にも複数にもなります。 staff が is と are のどちらを取るかだけで答えが決まる問題なら、正解が2つできてしまいます。先ほどの were setting の問題では、答えの根拠は staff の単数・複数ではなく、while と finished という時制の手がかりです。
- a number of は複数、the number of は単数を取り、news は単数を取ります。
注意点――イギリス人の間でも答えは1つではありません
いくつか、はっきりさせておきたい点があります。
- イギリス英語の複数形は選択肢であって、必須ではありません。 Swanはどちらも可能だと述べ、Longman文法書も実際の用法では単数のほうが一般的だとしています。イギリスの記事に The committee is... とあっても、まったく珍しくありません。
- 「80%」という数字は、Longman文法書のコーパス全体についてのものです。 このコーパスにはイギリス英語とアメリカ英語、会話、小説、ニュース、学術文が混在しており、国別の数字ではありません。確信を持って引用できる国別の割合は見つからなかったため、この記事では示していません。
- アメリカ英語も100%単数というわけではありません。 family が複数動詞を取ることもあり、代名詞に they を使うこともあります。また、the New York Giantsのように名前自体が複数形のチームは、複数動詞を取ります。
- イギリスでも、単数しか取れない動詞があります。 Longman文法書によると、複数形を使うには、動詞の意味が個々のメンバーに当てはまらなければなりません。そのため、The committee consists of eight members は単数にしかできません。8人のメンバーで構成されているのはcommittee全体であり、各メンバーではないからです。Levinの論文でも、consist、be set up、increase には単数が必要だという結果が出ています。
- 私たちの問題データベースでの集計は、範囲が限られています。 対象は「限定詞 + 名詞 + be/have」という1つのパターンだけで、一般動詞や代名詞は含まれていません。示しているのは傾向だけです。
まとめ:1つのteam、それとも人々の集まり?
アメリカ人がthe teamを見るとき、そこに見えるのは1つのteamです。イギリス人には、それが人々の集まりに見えることもあります。どちらの捉え方にも納得できる理由がありますが、英語では動詞の形をどちらかに決めなければなりません。
TOEICでは、アメリカ式で考えましょう。1つのteamには、1つのisです。
staff と police については――そもそも最初から1人ではありません。
ハンディ990の「文法練習 → 構造 → 主語と動詞の一致」には50レベルあり、The safety committee meets...、A number of passengers are...、The number of complaints has... といった文が登場します。文法書の第19章「主語と動詞の一致」では、主語と動詞を一致させる方法を基礎から解説し、各セクションの最後に短いクイズを用意しています。同じシリーズの「fishの複数形とは? the fishが1匹の魚にも魚の群れ全体にもなり得る理由」では単数形と複数形が同じ名詞を、「英文は前置詞で終わってもいい? ネイティブの書き手が毎日破っている、学校で習う6つの文法ルール」では単数のtheyを取り上げています。また、「イギリス英語とアメリカ英語の単語の違い:イギリスの first floor は日本の2階、lift はエレベーター、提案を table すると口論が始まることもある」では、両者で異なる単語をまとめています。